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英語教育のプロが語る、幼児期の英語教育に「楽しい」が必要不可欠な理由/幼児期に英語を学ぶこと①

こんにちは。サンリオの広報担当です。

今回お送りする「幼児期に英語を学ぶこと」のインタビューは、「英語が話せたらいいのに」「子どもに英語を身につけてほしい」と思うかたに、ぜひ読んでいただきたい内容です。

取材をさせていただいたのは、サンリオ初の英語教材「Sanrio English Master」の監修者として、長年にわたる英語教育の研究の知見や楽しく身につくノウハウを教材に注ぎ込んでいただきました佐藤久美子先生です。

今回は、幼児期の英語教育や、教材開発への思いを伺います。

今改めて、英語を学ぶとは?

ー 先生は長く英語教育に携わっていらっしゃいますが、先生と英語の出会いは何だったのでしょうか。

Profile / 佐藤 久美子先生
「Sanrio English Master 」英語教材監修
 NHK Eテレ「えいごであそぼ」「えいごであそぼ with Orton」
「えいごであそぼMeets the World」総合指導
玉川大学大学院 名誉教授
乳幼児の言語獲得・発達研究に従事し、その科学的成果に基づいて、
楽しく学べる英語カリキュラム・教材を作成。 多数の小学校、教育委員会で研修講師をつとめる

先生:最初に英語に触れたのが2、3才のころだったのですが、父の友人のかたが遊びに来ていました。その方は英語とドイツ語が堪能で、クリスマスソングなどの歌を歌ってくれたのですが、日本語の歌とは響きが違うし、メロディも素敵だと思ったのが最初でした。

中学に上がる前くらいから母の勧めで英語を習い、他の教科より得意になって、外国の人と文通を始めたら、返事がくるのがうれしく、Writingも楽しくなりました。

そこから大学、大学院、研究者への道へと進んでいきましたが、最初に受けた衝撃と、英語でコミュニケーションする楽しさはずっと心にあって、英語教育を続ける土台になっています。

ー 先生と英語との出会いは「歌」だったのですね。幼い時から英語を学ぶ良さは何でしょうか。

先生:英語を学ぶことは、言葉が話せるというだけでなく、色々な良さがあると思っています。

英語を学ぶことで得られるよいことは、大きく3つあります。

1つ目は、寛容な心が身につくこと。英語を学ぶことで、多様な人たちや、さまざまな文化にふれる機会が生まれます。色々な肌や髪の色、考えをもつ人がいて、それぞれに違いをもっている。でも違うことはイヤなことではなくて、世界が広がるワクワクする体験だと知る機会になります。

2つ目は、将来の活躍の可能性が広がるということ。英語は、教育、ビジネス、スポーツなど、国際的なコミュニケーションの場で使われています。英語を使えることは、1つの力となり、子どもの世界が広がっていきます。

3つ目は、コミュニケーションの力が育つということ。コミュニケーションは自分の考えを人に伝えることができる力ですね。あるいはお友だちがお話ししていることをきちんと聞いてあげられる力ですよね。
コミュニケーションの力をつけることは生きる力につながると思います。

寛容な心を養い、子どもの可能性も広がる。そしてコミュニケーションの力がつくことで、最終的にはお友だちと仲良くできることが大切だと思います。日本語、英語に関わらず、自分の考えをしっかり言えるということはとても大事なこと。英語を学ぶ過程で、自分の意見を言い、相手の考えを聞く経験を重ねることで、コミュニケーション力が育まれます。

幼児期の英語教育を考える

ー 多様性、将来の可能性、コミュニケーション力。どれも大きなキーワードですね。幼児期から、英語を学ぶということについては、どのようなメリットがあるのでしょうか?

先生:幼児期から英語を学ぶメリットは、大きく3つあります。

1つは、幼児期は聞く力が強く、まねっこが楽しくできること。英語を身につけるには、何度も繰り返してまねっこし、自分の口で言えるようになることがとても大切です。

幼児期は細かい音を聞き分ける能力があり、細かい音を聞き分けることに長けています。聞き取りが上手で、まねっこが上手な時期に英語を始めるのは、お子さまにとって、ラクなことです。暗記しよう、学習しようという考えではなく、ただ楽しいから、自然にまねっこすることできれいな発音ができます。

2つめは、日本語の発達にも良い影響があること。「日本語がおぼつかないうちに、英語を始めて大丈夫?」と心配されるかたがいらっしゃいますが、大丈夫です。

以前、幼児期に英語を学んでいる子どもと、学んでいない子の違いを研究したところ、英語を学んでいる子どもの方が、日本語の反復力も高いということがわかりました。

例えば、「かがみ」をひっくり返して「みがか」や、「まねきねこ」の語順を変えて「ねきねこま」とすると、初めて聞いた日本語になりますよね。
これをまねっこさせると、英語を学んでいる子どものほうが上手に発音できるのです。

また、反復力だけでなく、語彙力も高い傾向があることがわかりました。
結果について考えられる理由は、集中力とワーキングメモリー。英語がわからないから、しっかり聞いていると、日本語もしっかり聞く。集中して聞く姿勢が身につきます。
短期記憶の中のワーキングメモリーは、聞いたものをパッと暗記して、繰り返すことができる力。英語と日本語の両方でワーキングメモリーが鍛えられ、語彙をまねして発音することで、語彙の獲得につながっていくと考えられます。

3つめは、幼児期が楽しめる時期だということ。
例えば映像を見たとき、大人は話されている言葉がわからないと、何を言っているのだろう?と考えてしまいます。でも幼児期は、言っていることの意味がわからなくても、映像の世界観を楽しみ、映像から意味を推測して楽しむことができます。

歌を聴いたときも、言葉の意味がわからなくても、楽しんで歌える。聞いた音をそのままに、大人が驚くほどのきれいな発音で歌ったりします。

言葉の意味にこだわらず、ありのままを楽しんで反復できる。反復を繰り返しながらイメージと言葉をつなぎ、意味を推測して理解できるようになる。幼児期は、英語を全体でとらえ、楽しみながら身につけることがしやすい時期だと思います。


―幼児期が楽しみながら学ぶのに良い時期であることには、発達上の特性があるのですね。とはいえ、まだできないことやわからないことも多い幼児期。英語を学ぶときには、どのようなことに注意したらよいでしょうか?

先生:親中心ではなく、子ども中心で学ぶことが重要ですね。
子どもは好き、楽しいという気持ちがあれば、自分でどんどん吸収していく力があります。

興味が次々に移っていく子は、色々な教材を活用するのはいいことだと思います。でも、ひとつのものをじっくりと味わいたい子もいます。子どもが映像を気に入れば、お話しながら一緒に見たらよいし、体を動かす内容が好きな子は、動きと言葉を組み合わせて吸収していく。絵本をじっくり読むのが好きな子もいます。

同じものばかり好むと、「1つのものばかりでいいのかな?他のものも使ってほしいな」と思うかもしれませんが、子ども自身が満足して別のものに興味をもつときはきます。

また幼児期は、食事や睡眠などの生活に必要な時間を除いて、元気に活動できる時間は意外と限られています。子どもの好き、楽しいに寄り添って、そのお子さまのペースで、英語にふれていきましょう。

ー 英語を聞くのが大事と思っていましたが、聞くだけではダメなんですね。

先生:そうですね。生活場所が英語圏で、一日中、色々な人の行動とともに、英語のやりとりを聞いているような環境であれば、聞いているだけでもかなり身につきますが、英語教材はそんなに長時間はやらないですよね。聞くだけでは不十分で、話せるようにはなりません。

日本語に置き換えても同様で、1歳ごろまでは聞いているだけですが、1歳を過ぎると少しずつ言葉が出始め、1歳半ばから語彙が急に増えていき、2歳すぎるとどんどん話すようになります。ただ、実際にはお話ししているようだけど、実はおうちの方のまねっこをしていることが多いですよね。

例えば「鳩がいるね」と話すと「はとが いる」と返し、「お花きれいね」と話すと「おはな きれい」と返しますけど、これはまねっこしているんですね。

でも、そうやっておうちのかたの言うことを反復しながら、言葉を学んでいきます。そして、3歳くらいになると、「はとがいる でも、はと、すきじゃない」など、自分の意見を言えるようになります。
聞いて、まねっこするということを繰り返して、発話につながっていくんです。

ー 親子で楽しむポイントはありますか?

先生:子どもはおうちのかたが大好きです。おうちのかたが関心のあることは、子どももたいてい好きだから、親子一緒に楽しんで、英語が親子の共通の趣味のようになったらいいですね。

「私は英語が苦手で……」とおっしゃるかたがいますが、子どもと楽しみながら、一緒に取り組んでいただくのがよいと思います。
わからない言葉が出てきたら、辞書をひいたり、子どもに聞いたりするのもいい。

おうちのかたも少しずつ英語を身につけて、いつかお子さまと一緒に海外へ旅行などいけたら、きっと楽しいと思いますよ。


ー そのお子さまの楽しさや興味に寄り添うことが大切なんですね。教材には、どのように大事なポイントが反映されていますか?

先生:Sanrio English MasterはAll Englishで、「『英語で』学ぶ」ことを基本に、子どもの興味や日常生活に合った内容にこだわっています。

楽しくて豊富なインプットと、英語を思わず口にしたくなるアウトプット、両方の経験をバランスよくすることで、使える英語を身につけられます。

教材を開発する中で、特に意識したことは、「興味の入り口の豊富さ」「日常生活での使いやすさ」「楽しくリズミカルなこと」です。

「興味の入り口の豊富さ」は、初めて英語にふれるお子さまが、楽しそう、おもしろそうと感じて、英語の世界に入っていけるきっかけをたくさん用意しました。

大人も興味がある分野はさまざまですよね。子どもも同じです。子どもが絵本を好きだったら一緒に見るとか、歌が好きだったら一緒に歌うなど一緒に取り組んでみるといいですね。

そして「日常生活での使いやすさ」は、文字通り、子どもの生活に即し、根ざしているということです。日常生活のお話だからなじみがあり、イメージと言葉を一致させて理解しやすくなります。

子どもは、自分が全く知らない、無関係でなじみがないものは興味をもちにくいもの。その点、日常生活の言葉は、ふだん自分がしていることばかり。また、よく使う単語やフレーズだから、英語を口にする機会が増えて、実際に使えるようになる近道なのです。

さらに、「楽しくリズミカルなこと」。幼児にとって、リズミカルで楽しくふれられることは、とても大切です。“Repeat after me!” と言われて繰り返すやり方では、退屈な授業のようになってしまいます。

教材には、チャンツ(一定のリズムに英単語や英文を乗せて発音する学習法)を取り入れ、楽しく口に出す機会をたくさん入れているんですね。

大切にしていることは、発話し「自分の意見を言える」ようになることです。
2歳の頃まではまねっこしていることが多いですが、3歳になると自分の意見を言えるようになりますよね。

例えば "I like apples. " で練習しても、apple が好きではなかったら "I like bananas. "  や " I like melons."  と最終的には発話しなくてはいけないですね。それから "Do you like apples? " と聞かれたとしたら、"Yes, I do. I like apples. " と答える必要がありますね。

「反復」し「応答」して、「やりとりができる」ようになる。今回の教材はこの順番を意識して作っています。

幼児期に培った「英語って楽しい」という気持ちは、長い時間がかかる英語の習得のしっかりした土台になります。ぜひ、お子さまの興味と成長のペースに合わせ、親子で楽しく遊びながら英語に取り組んでくださいね。

わたしのサンリオ時間

ー 最後に、Sanrio Timesでは、お話をお聞きした皆さんにとっておきのサンリオ時間をお聞きしています。

先生:チャンツをリズムに乗りながら、一緒に声に出してやってみることです。また、動画のセリフをDadになったり、"Eddy"になったりしながら、声に出して演じています。

終わりに

今回のnoteでは、幼児期に英語を学ぶメリットと教材内容についてお伺いしました。後半ではより具体的な幼児期の発達と、教材で扱うテーマや内容について伺っていきます。子どもの発達と教材の関係について、興味深い内容が満載です。
お楽しみに!


(終わり)

©︎ 2023 SANRIO CO.,LTD. 著作:(株)サンリオ



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