「みんななかよく」のメッセージを届ける「Miracle Gift Parade」
8月10日はサンリオの創立記念日です。
サンリオは創立以来、企業理念「みんななかよく」を胸に、世界中に笑顔の輪を広げてまいりました。
そこで今回は、「みんななかよく」のメッセージを届ける「サンリオピューロランド」最大のエンターテイメント「Miracle Gift Parade(ミラクルギフトパレード)」を特集します。
「Miracle Gift Parade」の魅力やパレードに込めた思いなどを、「Miracle Gift Parade」の総合プロデューサーに聞きました。
奇跡(ミラクル)をテーマに物語を届けるパレード
―「Miracle Gift Parade」について教えてください。
サンリオのテーマパーク「サンリオピューロランド」の25周年記念パレードとして、2015年にスタートしました。パレードの制作陣には、25周年にふさわしくアートディレクターの増田セバスチャンさんを始め、様々な分野で活躍するアーティストの方々にご協力いただきました。
テーマは「奇跡(ミラクル)」で、ストーリー性を取り入れたミュージカルのような内容です。演出は「KAWAII」という日本発のポップカルチャーを軸に、キャラクターたちがカラフルなコスチュームで登場するほか、フルカラーのイルミネーション、空中などを使った迫力あるアクロバットを披露します。
―パレードはピューロランドのシンボル“知恵の木”を中心に上演されますね。
知恵の木は、1990年のオープン以来ずっと私たちを見守ってくれていますので25周年を記念するパレードにも生かしたいと思いました。
ストーリーでは、「ピューロビレッジの平和を感じて光輝く大きな木」として登場し、輝きがいつまでも消えないように、心の妖精“ハーツ”とピューロランドを司る“ピューロフェアリーズ”が守っているという設定にしました。
“ハーツ”には、なかよくハート、かわいいハート、おもいやりハートの3つの心の妖精がいます。また、“ピューロフェアリーズ”は、お菓子の精、時間の精、不思議の精、しあわせの精、冒険の精、ときめきの精、発見の精、音楽の精と、個性豊かな妖精が知恵の木を守っています。
―ストーリーでは、「ハローキティ」たちが3つのハート(かわいい、なかよく、おもいやり)のギフトを届けるためにフロートに乗って知恵の木に集い、パーティを開きますね。
―3つのハート(かわいい、なかよく、おもいやり)に込められた思いを教えてください。
書籍『いちごの王さまのメッセージ』(辻信太郎著)の中にある、「ハローキティ」が伝えてきた“友情を育む3つのメッセージ”から来ています。
1つは、「かわいい」というメッセージ。これは格好のことだけではなく、態度や言葉使い、心の持ち方を含めた、みんなに愛されるかわいらしさのことです。
2つめは、「なかよく」というメッセージ。世界中の人が優しい心でなかよくすることができれば、みんなが平和になかよく暮らせます。
3つめは、「おもいやり」というメッセージ。「ハローキティ」の心から湧き出るおもいやりのメッセージを表しています。
―3つのハートは、キャラクターたちが乗るフロートのデザインにも取り入れられていますね。
「KAWAII フロート」は、キラキラ輝くかわいいモチーフを散りばめました。「NAKAYOKUフロート」には、人と人をつなぐ「なかよく」の象徴である大きなリボンをあしらいました。
「OMOIYARIフロート」は、「リトルツインスターズ」の生まれ故郷“ゆめ星雲の思いやり星”の星や月がモチーフです。
フロートは全4種類で、3つのハートを象徴するフロートのほかに、「アニバーサリーパーティ」をイメージした「PARTYフロート」があります。
―パーティが始まると、キャラクターたちと一緒に踊れる曲「KAWAII FESTIVAL」が流れ、お祝いの雰囲気に包まれますね!
パレード参加シーンのメインテーマ曲「 KAWAII FESTIVAL」は、アーティストのヒャダインさん作詞・作曲です。「みんなで一緒に踊って楽しくお祝いできる曲」を目指して作られました。キャッチーでポップな曲に合わせて簡単に覚えられる、MIKIKOさん振付の参加ダンスもあります。
また、パレードの参加グッズとして「ミラクル♡ライト(ミラクルハートライト)」を制作しました。パレードの演出と連動してカラフルに光るので、まるでゲストのみなさん自身がイルミネーション演出を作り出しているような気分を味わっていただけます。
―お祝いムードが一転、突然現れた三つ子の闇の女王によって、知恵の木の光は奪われてしまいます。
ーなぜ「悪の女王」でなく「闇の女王」なのでしょうか?
誰もが心に光と闇の両方を持っていますし、誰もが初めから悪者になりたくてなるのではない、何かしらの理由があると思ったからです。
女王は「闇の森で孤独に暮らす人生を送っている内に、声に魔力が備わった」という設定です。
光や笑顔を疎み、闇を愛する女王。善や悪というお話もありますが、自分の意思と反するものに出会ったことを表現するべく「闇の女王」になりました。
―「ハローキティ」は、闇の女王を倒そうとする仲間を止め、「誰だって暗い気持ちになることがある。光を見たくないときも…」と語りかけます。
なぜ「ハローキティ」は、女王に寄り添おうと思ったのでしょうか?
実は、パレードは暗闇の中に響く悲しげな声から始まります。パーティの最中にも遠くから聞こえてくる。その声に「ハローキティ」は気づいて、様子がおかしいと思っています。
そして闇の女王たちがやってきます。女王の歌声の裏側にある悲壮感から「何か理由があるのでは?」と考えます。パーティの途中で聞いた悲しい声、ふとした瞬間の悲しげな女王の表情がつなぎ合わさって確証となり、「待って!」と声を上げたのです。
続けて「ハローキティ」は、「いちごの王さま」が教えてくれた「やさしさとおもいやりの心があれば、どんな時も誰とでも、なかよく助け合って生きていける」というメッセージをみんなに届けます。
心はみんな一緒であり、3つのハートは誰しもが持ち合わせていて、決して欠けている人はいない。だから、女王ともなかよくなれると信じ、孤独を抱えた女王の心に寄り添おうとしたのです。
仲間たちも「ハローキティ」の女王を信じたいという思いに応え、「おもいやり」「なかよく」のハートを女王に届けます。
―そしてみんなの思いが奇跡をよび、女王は自らの心の中にあるハートの輝きを見出しました。このシーンで大事にされているメッセージについて教えてください。
私たちの日常でも理解しあい、なかよくすることは難しいことです。しかし「自分とは違う」と思っても一回理解しようとする。自分と反対側の意見を聞いて、受け入れてみる。
闇の女王を理解し、なかよくなろうとする「ハローキティ」たちの姿を通して、相手のことを思いはかることの大切さを感じていただけたら嬉しいです。
―フィナーレでは、3つの心を見出した女王たちも交えてパーティが再開されますが、どんな思いが込められていますか?
サンリオのキャラクター、知恵の木を守る妖精、女王がそれぞれの違いを超えて一緒に歌い、踊ります。
「みんながいることは素晴らしい」という瞬間を味わっていただきたいです。そして「みんななかよく」なったときの幸せな気持ちを一緒に味わっていただけたら嬉しいです。
パレードは知恵の木を一周した360度が舞台です。パレードを観る他の方の表情や手に持つ「ミラクル♡ライト」が自然と視野に入り、その変化を見ることができるため、みんなで体感しているような一体感を味わうことができます。
「楽しかったな」「みんながいるって幸せだな」という温かな気持ちになっていただけたらと思います。
ハローキティをブロードウェイの舞台へ
―パレードを上演するにあたり、大切にしていることを教えてください。
パレードは、出演者のほかにも衣裳、照明、音響、大道具・小道具スタッフなど数多くの人が関わっています。人の心を動かすためにはパレードに関わる全ての人が熱意と愛情を持って接すること、継続力、そして総合力が大切です。
2020年、感染症拡大防止に伴う臨時休館で上演休止を経験しましたが、スタッフ一同でパレードをもう一度、2023年に復活させました。この経験から改めて総合力の大切さを痛感しました。
―最後に、土屋さんの夢はなんですか?
海外でも「Miracle Gift Parade」を上演することが夢です。そして、いつかキャラクターたちをブロードウェイの舞台に立たせてあげたいです。
海外でブロードウェイミュージカルとして「Miracle Gift Parade」を上演し、サンリオの「みんななかよく」の思いを世界中に伝えていければ、素敵だなと思います。
おわりに
「Miracle Gift Parade」のほかにも、「KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~」、ハローキティの50周年イベントなど幅広くサンリオピューロランドのショーやイベントの総合プロデューサーを務める土屋さん。
新たなものを制作するときには「自分の心に残った感動を生かす」という土屋さんの原点は、子供の頃に通ったサンリオフェスティバル。両親やほかの子どもたち、サンリオのスタッフたちと過ごすワクワクした時間やキャラクターに囲まれた空間が好きだったそう。
「小さい頃にサンリオから受け取った楽しい気持ちや感動を、サンリオピューロランドに来てくださるみなさんに届けられたら嬉しいです」と話す土屋さん。
今後のピューロランドの展開も楽しみですね!
(終わり)
©︎ 2024 SANRIO CO., LTD. 著作:(株)サンリオ
執筆:鈴木未来