英語ともっとなかよくなるには、日常化と子どもの興味に合わせることが大切 /幼児期に英語を学ぶこと②
こんにちは、サンリオの広報担当です。
サンリオ初の英語教材「Sanrio English Master」の監修者 佐藤久美子先生にお話を伺い、前半では、幼児期に英語を学ぶメリットと教材開発への思いについて、語っていただきました。後半では、より具体的な幼児期の発達と、教材で扱うテーマや内容について伺っていきます。
子どもの発達と教材の関係について、興味深い内容が満載です。
子どもの発達と、英語教育とは?
ー 0歳から6歳の就学前までの幼児期は、どんな時期ですか?
先生:0歳から6歳は、心身ともにぐんと成長する時期です。歩行や発語ができるようになり、知的な発達が進みます。成長の喜びをたくさん感じる時期の一方、イヤイヤ期、なぜなに期といわれる時期など、急な成長の変化に戸惑うこともあるでしょう。
お子さまの自我や個性が出てくる時期ですから、おうちのかたは、うちの子らしさを大切にしてほしいと思います。
先生:教材は母語を学ぶ過程の流れを大切に、発達過程に合わせて文法の内容を各レッスンに1段階ずつ入れています。子どもが母語を学ぶ際は、まずは真似をして、応答ができるようになり、そして自発的に話せるようになっていきます。
例えば、3歳の英語ネイティブのお子さまも、大人が「真似してね!」と言って "I chased the dog who chased the rabbit." (私はウサギを追うイヌを追いかけました)というと、"I chased dog and dog chased rabbit." と答えるように、関係代名詞の "who" を使わない文章で話します。文の意味は理解しても、"who" を自分では使わないからです。何度か間違えたり使ったりしていく中で気づき、6歳ごろになると関係代名詞などおよそ大人と同じ文法が使えるようになっていきます。
「英語の日常化」を目指した "Stage1"
ー 教材は2つのStageに分かれていますが、Stage1はどのような構成ですか?
先生:Stage1は日常生活でよく使う言葉が中心です。あいさつとものの名前から始まります。
日本語でも英語でも、あいさつから言葉の獲得が始まるお子さまがいます。"Hello, I’m ○○. Nice to meet you." と自分の名前を伝えることは、お友だちをつくるときの最初の一歩です。
また「最初に自分の名前を言ってから、相手の名前を聞く」というあいさつならではのルールもありますよね。英語で知育的なルールも学んでいきます。
ー あいさつのほかに、ものの名前に興味のあるお子さまもいますよね。
先生:はい。「あれは何?これは?」と聞いて、ものの名前を知ることを楽しみます。数、色や形は子どもの身近なものですね。数が好きなお子さまがいて、「ハトさんがいるね、数えてみよう。One, two, three, four…」と言うと笑ったりします。
散歩をするときに、目に見えたものを英語で言ってみるのもいいですね。おうちのかたが "Wow, look at this flower." と気づいたものを伝えると、子どもが "Pink!" と花の色を教えてくれたりします。
おうちのかたが "That’s right! It’s pink. A pink flower. It’s beautiful. " などとやりとりが広がると楽しいですね。
また幼児期には、いくつかの成長の変わり目がありますね。
例えば、2歳くらいのお子さまに多いイヤイヤ期。イヤイヤ期のとき、おうちのかたが「はみがきしなさい」と言うと、子どもはますます「イヤ!」となりがちです。でも、かわいいキャラクターと一緒に「"Eddy"も歯を磨くよ。Blush your teeth. (歯を磨こう)」と言うと、子どもはすんなり聞き入れたりします。
おうちのかたの子育ての応援に、この教材が一役かってくれればという思いでいます。
ー 言葉は暗記したほうがよいですか?
先生:子どもは興味があれば自然と発話しますので、言葉を無理して暗記させようとしないことが大切です。
教材では「英語の日常化」を目指しています。英語の日常化とは、繰り返し何度も触れて、子どもが親しみ、興味をもちやすくすることです。
そのために、動画や絵本の内容を徹底してリンクさせ、何度もそのフレーズに触れられるようにしています。
例えば発音と文字(つづり)の関係性を学ぶフォニックスで出てきた単語があるとします。次にその単語をリピートしたり、単語を含む英語のフレーズをリズムに乗せて発音するチャンツで声に出して練習したり、同じフレーズが動画で聞けたりします。そして歌の中にも同じフレーズが出てきて、絵本を読むと「これ知ってる!」というフレーズがまた出てくる、というように工夫されています。
ー 毎日の生活の中で、何度も触れることが重要ですね。
先生:その通りです!
英語「で」学ぶ "Stage2"
ーStage2はどのようにレベルが上がるのですか?
先生:子どもの発達段階にあうように、内容がレベルアップします。
動物も cat や dog だけではなくて、ant(アリ) や ladybird(テントウムシ)も登場します。
いろいろな虫が出てくると「なぜこの虫は足が6本で、この虫は8本?」と興味を抱くようになりますよね。その関心に付随して英語の表現も増えていきます。英語「で」学ぶのですから、内容が大切ですね。
大人でも理科の話を説明するのは難しいですし、子どもたちが学んだ内容を話せるようになるかというと、いきなり話すことは難しいと思います。表現を覚えるのではなく、「Antってアリのことなんだ」「そうか。 How many legs? と、足の数を聞いているんだ」「AntやButterflyといった昆虫は足が6本なんだ」と理解し、学べば良いのであって、英語をそのままを楽しめばよいですね。また、何となく意味を推測する力も大切です。
そうしていく内に、最初は "I like dogs." しか言えなかったけれど、"I like butterflies." と応用ができるようになっていきます。
単語が増えると、やりとりも広がっていくし、世界が広がっていく。そういうことが大切だと思います。レベルがあがるということは、話の内容が豊かになることなのです。
ー 具体的に知的好奇心を刺激するとは、どのような内容になるのでしょうか?
先生:例えば「鳥はなぜ飛べるの?」「牛乳はどこからくるの?」「どうしてパンはふくらむの?」など、科学や生物、食育や社会性など、幅広いテーマで、知的好奇心をくすぐります。
ー 不思議がいっぱいで楽しそうですが、この内容を英語で学ぶのは、高レベルですね…。
先生:はい。そこで、すべてを理解させようとするのではなく、子どもの発達年齢に合わせて、少しずつ興味が持てればよいと思います。一度で理解できなくても、何となく見ているうちに興味関心のある個所も段々に異なり、興味の幅や理解度も広がります。 Stage2は日常の世界からファンタジーの世界に場面が変わります。
「BUDDYEDDY」というキャラクターとともにファンタジーの世界を冒険し、さまざまな体験を経て疑問を解決していきます。おまじないの言葉をいうと魔法のゲートが開くなど、教材では子どもたちが楽しく学べるようなしかけをたくさん用意しています。
疑問をもつと興味がわき、知りたいと思う。知的好奇心のコーナーでは、ワクワクする気持ちを大切に、子どもの学びを広げていきます。
「みんななかよく」なるきっかけを英語で学んでいく
ー 「みんななかよく」というサンリオの企業理念も、この教材に活かされていると伺いました。
先生:この教材を開発していくにあたって、共感した点がいくつかあって、その一つが「みんななかよく」でした。
幼児期のお子さまは、社会のルールやマナーを経験を通して身につけていく時期です。そのような時期に、英語のフレーズややり取りから、お友だちとなかよしになる仕方を、身につけられるといいなと思いました。
例えば子どもがブランコにずっと乗っていたいけれど、他の子どもが待っているというとき、ブランコを譲り合ってなかよく使えたらいいですよね。そんなときは、順番に使うという仕方を教材で学んで、「Now, it's your turn.(君の番だよ)と言うフレーズを知っていて、お友だちとなかよく使うともっと楽しいことを感じられたらとてもいいですね。
また、「Hold Hands(手をつないで)」という絵本(Stage2/Grade8)では、“Eddy”が、色々な動物たちと手をつなぎ、友だちになっていくストーリーが入っています。英語でその方法を知り、伝え方を知る。みんなとなかよくなるためには、言葉を使って自分の考えていることや思っていることを表し、伝え、また相手の言うことをしっかりと聞くことが大切です。
この教材を使い、コミュニケーションの力をつけて世界を広げていってほしいと思います。
ー ありがとうございます。 最後に、これから英語を学ぶお子さまをおもちの方へ、メッセージをお願いします!
先生:英語を学ぶことは、お子さまの未来の可能性を広げること。そしておうちのかたと一緒に自然に学ぶことは、豊かで安定したお子さまの成長の土台を育むことにつながります。
でも難しく考える必要はありません。まずは、英語を楽しむことがとても大切です。お子さまとの共通の遊びが一つ増える感覚でとらえ、楽しくインプットし、日常の中でアウトプットしていきましょう。
取材をおえて
今回先生のお話しの中で印象に残ったお話しがあります。
それは、ネイティブのお子さまでも、sing や stand など日常生活でよく使われる単語でさえ、10回以上触れないと覚えられないとのこと。
授業や単語帳という限られた機会でしか触れなかった学生時代を思い出し、折につけて聞いたり、話したりできるように「英語の日常化」が大切だと改めて身に染みました。
佐藤先生に幼児期の英語教育などについてお伺いした前編も公開していますので、まだの方はぜひそちらもご覧くださいね。
https://sanriotimes.sanrio.co.jp/n/n836951fb7db6
(おわり)
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