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「マイメロディ」50周年記念! シャープ公式Xアカウント・山本隆博さんにインタビュー〜「しゃーぷになりたいの♪」投稿から始まったマイメロディとの思い出〜

今回は、2025年に「マイメロディ」が50周年を迎えたことを記念して、シャープ公式アカウントの“中の人”にインタビューしました。

シャープ公式アカウントさんといえば、2016年以来、Xでの投稿を通じて「マイメロディ」に優しく寄り添ってくださっています。そんなシャープ公式アカウントの“中の人”として80万以上のフォロワーと対話し、現在はコミチCMOとしてマンガの広告にも携わる山本隆博さんに、お話を伺いました。

山本隆博(やまもとたかひろ)さん
Profile
:コミチCMO(最高マーケティング責任者)。シャープ公式X(旧ツイッター)運営。シャープにてテレビCMなどマス広告制作に従事した後、SNSを担当。ときに“ゆるい”と称される投稿が話題に。企業コミュニケーションと広告の新しい在り方を模索しながら、日々ユーザーと交流を続けている。主な受賞に2018年TCC新人賞、2021年ACCブロンズなど。2024年10月より現職、Web漫画のマーケティングに携わる。シャープ退社後も業務委託で公式X(@SHARP_JP)運営を継続。著書に『シャープさんのSNS漫画時評 スマホ片手に、しんどい夜に。』(講談社)がある。

1. シャープさんがX(旧ツイッター)を始めた理由


――最初に、山本さんのキャリアについて教えてください。
山本さん:
シャープに入社後、宣伝部に配属され、テレビや新聞、雑誌といったマス広告を手がけました。広告ではターゲットを設定し、「どうすれば購入につながるか?」を考えながら手法を練ります。年齢や家族構成など、実際にはいないお客様像を仮定し、「その人に響くメッセージは何か?」を分析する日々。しかし、そうした分析を続けるうちに、広告の限界を感じるようになりました。

 その後、広告の主軸がインターネットへと移行し、SNSが新たな情報インフラとして注目され始めました。特にツイッター(現・X)が情報発信の場として影響力を持ち、企業の活用も進んでいくなか、シャープ公式アカウントの運用を任されました。

Xには、家電が好きな人、マンガが好きな人、さまざまな方が集まっています。だからこそ、Xでは「実際にはいないお客様像に向けて発信する」のではなく、「喋りかけてくれた人と対話する」という、SNSならではのコミュニケーションを大切にしてきました。

――ツイッター(現・X)の投稿が話題になり、2015年にはX公式アカウントが擬人化されたそうですね。経緯について教えていただけますか。

左がシャープさん。マンガのシャープさんは家電とアニメをこよなく愛すお調子者のキャラクター。
/クロフネCOMICS「シャープさんとタニタくん@」著:仁茂田あい

山本さん:
X公式アカウントを擬人化するという、なんとも不思議な現象ですが、それぞれのアカウント同士のやりとりから、「中の人」のゆるい日常を妄想し、それをマンガとして描かれたそうです。

最初は僕自身も何を言っているか分かりませんでしたが、マンガをきっかけにシャープ公式Xを知ってくださる方が増え、書店でコーナーが組まれた時は本当に驚きました。

――どのようなさじ加減で、投稿されていたのですか。

山本さん:
「会社から怒られるくらいが、ちょうどいい」と思っていました。
僕は「半分だけ社員」で、もう半分は社員を辞めている感じでした。そうすることで、会社を客観的に見ることができたんです。

会社の中からの発信だけでは、「ただの宣伝」や「企業の太鼓持ち」になりがちです。会社の枠からはみ出るしかないと思っていました。

「会社からはみ出したところにいる人」と言うのは簡単ですが、それを一つのキャラクターとして確立するには、時間の積み重ねが必要です。そして、それを決めるのは自分ではなく、第三者です。だからこそ、毎日投稿することを大事にしていました。

そこにマンガという物語が加わったことで、“中の人”としてのキャラクターに奥行きが生まれたのは嬉しかったですね。

2. 「マイメロディ」とのXでの思い出を振り返って…

―― 2016年に「マイメロディ」がツイッター(現・X)で「しゃーぷに なりたいの♪」と投稿しました。投稿を見たときの感想を教えてください。

山本さん:
最初は、フォロワーさんが「マイメロディがこんなことを言っていますよ。」と教えてくれたのだと思います。見に行ってみると、本当に「しゃーぷになりたいの♪」という投稿がされていて。
マイルールとして、「できるだけ答える」と決めていたので、「マイメロさん、エントリーお待ちしています。」と投稿しました。

山本さん:
正直、お返事いただけるとは思っていなかったのですが…。
後日、「えんとりーしーと かいてるの♪」の投稿が! しかも、そのエントリーシートをよく見ると、「しゃーぷになりたいの」と書いていて、震えるぐらい興奮しました。「マイメロディ」と握手したくなるような感じでした。その後も、「マイメロディ」とはメタな返歌を繰り広げていましたね。

ーーいつも「マイメロディ」に優しくしてくださる様子が印象的でした。これまでの投稿をご紹介させてください。

――おかげさまで、今年「マイメロディ」は50周年を迎えることができました。改めて、「マイメロディ」に対する印象をお聞かせください。

山本さん:
これだけ長く愛され続けているのは、本当にすごいことですよね。キャラクターが長く愛されることは並大抵のことではなく、とてつもなく大変なことだと思います。ただただ、尊敬しかないです。

――サンリオには450を超えるキャラクターがいます。もし推しキャラクターがいましたら、教えてください。

山本さん:
「ボタンノーズ」は、控えめな目がかわいいなと感じていました。僕はボストン・テリアを飼っているのですが、その子は目がちょっと離れていて、かわいいんです。あとは、「バッドばつ丸」や「ハンギョドン」も好きですね。どちらも一味違ったかわいさを持っていて、奥行きがあり豊かな感じがするところが好きです。

ボタンノーズ

3. 「マンガ」という表現を推したい

――著書でこれからは「マンガ」という表現を推したいとおっしゃっていましたが、マンガにたどり着いた経緯を教えていただけますか?

山本さん
今、ネット広告を見ても、「広告を消すためにお金を払う人」が増えている時代ですよね。
それなら、押し付けではなく、嫌われない広告を目指したいと思うようになりました。その延長でたどり着いたのが「マンガ」です。

ひとつの理由として、広告をしていると、老若男女に好かれることが理想だと感じていましたし、そこに非常に憧れていました。実際、僕はある意味“生身”を差し出すような形でXで発信してきました。だからこそ、キャラクターというものが世の中の人に受け入れられている状態には、ものすごく憧れていたんです。

もうひとつは、家電の情報って、引越しのときや買い替えるときには必要ですが、それ以外のときはあまり必要ないですよね。長く広告の仕事をしてきた中で、「みんなにとって必要ではないもの」という感覚が本能的にありました。

――では、マンガの魅力とはどのようなものでしょうか?

山本さん:
マンガの広告は、怒られるどころか、むしろ楽しんでもらえることが多いんです。例えば、家電の取扱説明書はあまり読まれない傾向があったので、それを全部マンガで表現したこともあります。実際にとても読まれたと思います。

会社員時代に連載していたコラムをきっかけに、マンガDX支援のコミチに声をかけてもらい、CMO(最高マーケティング責任者)を担うことになりました。昨秋からは、シャープ公式Xの運営を外部委託として続けながら、コミチでは連載作品の広告やグッズ企画、編集部のアカウント運用をサポートしています。

マンガをおすすめされて嫌な思いをする人が限りなく少ないのであれば、作品が持つ本来のポテンシャルを最大限発揮できるような、そんな仕事をしていきたいです。

――最後に、Xでの投稿を続ける理由について教えてください。

山本さん:
Xでの投稿を通じて感じたのは、「人は決して怒ってばかりいる存在ではない」ということ。今、SNSを見ていると、お客さんがめちゃくちゃ怒っているように見えることがありますよね? でも、SNSの仕組みによって、怒りの声が目立ちやすくなっているだけで、実際のお客さんは怒ってばかりいるわけではないんです。その点で、救われた部分もあります。

企業には企業活動がありますが、僕はいわば普通のこと、「平熱」のことを言いたい。それを言いたいからこそ、日々発信を続けています。

(終わりに)

シャープ公式アカウントの“中の人”を13年間務めていらっしゃる山本さん。
最初の「マイメロディ」の投稿は2016年で、今から9年ほど前になります。今回ご紹介できなかった投稿もたくさんありますが、最後に一つだけご紹介させてください。

いつも「マイメロディ」に優しく寄り添ってくださり、ありがとうございます。
これからも、なかよくしていただけたら嬉しいです。

最後にお知らせです。シャープ公式noteさんにて、シャープの社員さんが「ハローキティ」愛を語ってくださったnoteが公開中です。テレビ事業に携わる社員さんならではの、推しの現場で撮影した写真や動画を楽しむ方法など、内容が盛りだくさんです。ぜひ合わせてご覧ください。

(終わり)

Xアカウント:
シャープ公式 @SHARP_JP
マイメロディ【公式】 @Melody_Mariland


取材・文=小竹美沙

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