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「フラガリアメモリーズ」の魅力とは? 作品に込められた想いを聞く

2023年秋に発表された話題作、サンリオ初の本格ファンタジー「フラガリアメモリーズ」。「ハローキティ」たちの願いに応えて立ち上がった“フラガリアの騎士”たちが活躍する本作は、早くも多数のファンを獲得し盛り上がっています。

キャラクターデザインについて話を伺ったインタビュー前編に続き、後編となる今回は、プロジェクトの始まりや声優陣の収録秘話、気になる今後の展開について聞いてまいります。キャラクターの前編と合わせてぜひお楽しみください。

~「フラガリアメモリーズ」とは~
かつて「いちごの王さま」がどこからか降り立ち築き上げた、妖精たちが暮らす世界。その中にある赤・青・黒の3つの大陸を、「ハローキティ」や「シナモロール」、「バッドばつ丸」を始めとした主(ロード)に仕える“フラガリアの騎士たち”が、主を守り、世界を救うために立ち上がる―。
ボイスドラマや楽曲などメディアミックスで展開中。


プロジェクトの成り立ち

―本作が生まれるきっかけはどのようなものだったのでしょうか?

村上:サンリオはこれまでも人型キャラクターのプロジェクト(「SHOW BY ROCK!!」「サンリオ男子」など)を発表してきましたが、それらが好評だったことも踏まえ、新しい人型キャラクタープロジェクトに挑戦してみようという方針が生まれました。
そこでデザイナーが手を上げて企画を作り、私が参画して形になっていった流れです。

ーでは、今のような世界観になったのはどういった経緯ですか。

村上:「サンリオ男子」は世界観が現実世界に近く、「ハローキティ」たちキャラクターを“推す”男子たちが登場します。
そこで「フラガリアメモリーズ」の世界観は、「ハローキティ」たちの要素を作品のエッセンスとして取り入れつつ、ファンタジーにしようと考えました。その後、「ハローキティ」たちを守る存在ということが決まり、最終的に「騎士」という形になったんです。

―サンリオとして初めての本格ファンタジーはそうして生まれたんですね。プロジェクト立ち上げの際に苦労したことがあれば教えてください。

村上:ユーザーさんにとってのサンリオのキャラクターって、たとえば小さい頃にお守り的な存在だったとか、大きくなってから推し活的に身につけてるとか、それぞれに関係性があって然るべきだと思ったんです。でも、「ハローキティ」たちをそのまま人型キャラクター……いわゆる擬人化して出すと、関係性の定義を公式が限定してしまうことになるのかなと。

―たしかにそうですね。

村上:ユーザーさんそれぞれの関係性や気持ちと向き合いたいというのは、最初にかなり意識したことでした。
だからこそフラガリアの騎士たちも、ゆくゆくは今の「ハローキティ」たちのような存在になっていくと嬉しいですね。

キャラクターの“個性”を彩る声優陣

―インタビュー前編ではキャラクターについて伺いましたが、キャラクターの個性を彩る声優さんたちについてもぜひ聞かせてください。どのように選ばれたのでしょうか。

村上:オーディションを行いました。演技ももちろんですが、本作が音楽の占める割合も高く歌う機会も多いので歌唱の審査も行いました。
オーディションの時にはキャラクターデザインや性格設定なども出来上がっていたので、シンプルに、キャラクターに合っているかどうかという観点で選びました。

ありがたいことに、すごくたくさんご応募いただいたんです。複数のキャラクターを受けてくださる方もいらっしゃったので、トータルで200名分くらいは声を聞いたかもしれません。

―すごいですね! そして、すでに多数の作品で活躍している方から、期待の若手までかなりバラエティに富んでいる方々が選ばれました。皆さんが最初に収録したのは何でしたか?

村上:公式サイトに載せるセリフです。あのときはボイスドラマの脚本などは出来上がっていなかったので、我々と声優さんとお互いに創り上げながら収録していきました。「もっと優しく」とか、「ゆっくり」あるいは「元気に」など、その場ですり合わせました。

声優さんの演技プランによって、「なるほど」と思うこともあり、我々のキャラクターに対する解像度も上がりました。

―たとえばどういったことでしょう?

村上:「シエロモート」を演じる島﨑信長さんは、事前に「このキャラクターはこういう感じだろう」と、わりとしっかりした演技プランを立ててきてくださったんです。現場では「こういう感じですか?」と詳細に確認してくださったりもして。

シエロモート

まだ今ほど詳細な資料はなかったんですが、その解釈がバッチリ合っていたんですよね(笑)。しかも、「シナモロール」自体への解像度も高くて。演じるキャラクターの主(ロード)が元々お好きだったという声優さんはほかにもいて、話が盛り上がりましたね。

「ハンギョン」を演じる松岡洋平さんも、もともと「ハンギョドン」がお好きだったそうです。オーディションではまったくそんなそぶりを見せていなかったのですが(笑)。
「プルース」を演じる寺島拓篤さんも、元々サンリオに対するアンテナをすごく張ってくださっていたようです。

左からハンギョン、プルース

―では、楽曲収録で印象的な出来事はありましたか。

村上:楽曲にもこだわりが詰まっているので、仲村さん(「サナー」を演じる仲村宗悟さん)に、「めちゃくちゃ難しい!」と言われました(笑)。

サナー

村上:歌に関しては、最初に収録したボイスの延長線上ではあるので「このキャラクターはこの部分はあまり大きく歌い上げないですよね」「後半ではもっと感情を出してもいいかも」といった感じで、キャラクターの性格も踏まえたコミュニケーションを取りつつ収録しました。

たとえば「Your Melody」なら、(「メロルド」を演じる)林 勇さんが前作の『EVER RED』ではこう歌っていたから、「メロルド」をイメージした『Your Melody』ではこういうメロディにしようと考えたりしました。曲を収録する上で、声優さんの存在は大きいですね。

表には出ないキャラクターの内面が出るのが歌というところもあるので、歌を聞くとそのキャラクターの本質が見えるんじゃないかと思います。切実になるとこういう声になるんだ、とか、このフラガリアの想いはこういう形で現れるのかと。

さまざまなメディアを通して描かれるストーリー

―今展開されているのは、3つのブーケごとに連続ドラマ形式で公開されているボイスドラマと楽曲ですね。これらは、すべてYouTubeで誰でも視聴が可能です。

村上:はい。それから、ラジオ(TOKYO FM「フラガリアメモリーズ Knight Link」)も始まりました。これはフラガリアの騎士たちが交代で登場し、視聴者のお悩みに答える番組です。

―それは声優さんではなく、あくまでもキャラクターとしての番組ということでしょうか。

村上:そうです。こちらもボイスドラマや楽曲同様、キャラクターの一面が垣間見える作りになっています。

―少し話が戻りますが、ボイスドラマは2024年5月現在でレッドブーケ・ブルーブーケ・ノワールブーケの各1話が公開されています。物語としては始まったばかりなんですね。

村上:そうですね、皆さんにフラガリアたちをお披露目するような段階です。頑張っているところを応援したくなる描写のキャラクターもいれば、まだ何を考えているかよくわからないキャラクターもいたりします。

―では、「フラガリアメモリーズ」を知ったばかりの人でもすぐに入っていけそうですね。この先の物語はどこまで考えていらっしゃいますか。

村上:起承転結の着地まではざっくり決まっているので、そこに向けて物語を描いているところです。まだまだ続いていきますので、ぜひこのタイミングで聴いてみていただきたいですね。

―今後予定されている展開としては、3DCGライブとファンミーティングのイベントなどがあります。直近のイベントについて内容を教えていただけますか。

村上:2024年の8月10日(土)・11日(日)に初めてのイベントを行います。1回の公演の前半が3DCGライブで、後半がファンミーティングですね。

―ライブではどのようなものが見られそうですか?

村上
:楽曲については、皆さんがMVで聴いていたものを彼らが実際にどうパフォーマンスするかを楽しみにしていてほしいです。

3DCGライブってアイドル系のコンテンツが多いんですが、我々としてはファンタジーの世界にいる彼らが映える演出にしたいと考えています。そこに期待してほしいですし、キャラクターたちの掛け合いなども楽しみにしていただければ。

―初めてこうしたコンテンツに触れる方にとっては、3DCGライブは衝撃的かもしれませんね。本当にその場にいるような感覚なので。いや、現実に存在はしているんですが(笑)。

村上:今、YouTubeで「ハルリット」の「EVER RED」ソロパフォーマンス動画を公開中なんですが、その方向性でさらにブラッシュアップしたものを8月にお披露目したいと思います!

―この他にもたくさんの展開が目白押しかと思いますが、こうしたコンテンツではお約束と言いますか、アニメやゲームについてはまだ触れられていませんよね。

村上:本作は少しでもプロジェクトを長く続けられる形を取りたいと思っています。アニメやゲームで始める方法も王道的にあると思うんですが、仮に軸となっているゲームのサービスが終了すると、どうしてもプロジェクト自体を続けるかどうかの選択を迫られるんですね。ですので、そうならないように本作をきちんとIPとして確立させたいんです。

―そうですね。

村上:アニメやゲームに関しては全く考えていないということはありません。プロジェクトが続いたときに、どこかで行われるかもという楽しみを持っていていただけたらと思っています。
これから発表する展開もありますし、皆さんの期待にはできるだけ応えていきたいです。

担当プロデューサーの想い

―SNSやYouTubeなどでは、本作へのファンの皆さんの反響も大きいですよね。プロジェクト発表当時の大反響を見ていていかがでしたか。

村上:すごく嬉しかったですね。毎日1人ずつキャラクターの名前と簡単な紹介を交えつつビジュアルを公開していったのですが、デザイン面でも「あのこだわりに気づいていただけた!」という驚きと喜びもあったり……あと感動したのは、キャラクターの名前がトレンドに入ったことです。

―盛り上がりましたよね! 最近のボイスドラマや楽曲の反響については?

村上:ボイスドラマは30分を超える尺なので、どういう反応があるか気になりました。
キャラクターの個性をきちんと描きたいという思いで少し長めになっているんですが、きちんと描写したことで逆に喜んでいただけたことがわかりました。ポジティブなリアクションが多く、ありがたかったです。

ボイスドラマは企業理念の「みんななかよく」を織り交ぜた描写があり、“サンリオマインド”を感じていただけたことも嬉しかったです。サンリオが今まで大切にしてきたものを込めているので……。
「フラガリアメモリーズ」からサンリオに入った方にも、サンリオのキャラクターたちの精神性が伝わればいいなと思います。

―ありがとうございます。最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

村上:「フラガリアメモリーズ」が、これからサンリオのキャラクターに出会う人にも、サンリオのキャラクターたちと長くお付き合いしてくださっている方にも楽しんでいただけるコンテンツにしたいという想いがあります。とはいえ、ただ保守的なわけではなくどんどん新しいことにも挑戦していきます。

ボイスドラマが出始めたばかりですし、楽曲もあるので、今が追いかけやすいタイミングではないかなと。
ぜひ、多くの皆さんに楽しんでいただきたいです!


わたしのサンリオ時間

―サンリオタイムズ恒例、「とっておきのサンリオ時間」について聞かせてください。

村上:僕がサンリオで働いていて一番“アガる”のは、フラガリアの配信番組で飾るぬいぐるみを「どれにしようか」と悩み、連れて行く時間です(笑)。サンリオのキャラクターに触れている瞬間は、僕のサンリオ時間の中でもプライムタイムと言えますね。

Profile: 村上一馬/IP創造部IP企画推進課にて「フラガリアメモリーズ」のプロデュースを担当。趣味は劇場での映画鑑賞。

取材を終えて

以上、「フラガリアメモリーズ」のインタビューをお届けしました。

制作陣の愛とこだわりがたっぷりと詰まった本作の物語はまだ始まったばかり。ぜひ、多くの皆さんに注目していただきたいです!

(終わり)

©︎ 2024 SANRIO CO.,LTD.    著作:(株)サンリオ

前編はこちらからお読みいただけます。

取材・文:玉尾たまお
(profile)
Webメディアライターのほか、メディアミックスコンテンツのシナリオライターとしても活動中。サンリオで一番好きなキャラはザシキブタ。

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