7月27日はあひるのペックルのお誕生日! 制作秘話を公開
キャラクターユニット「はぴだんぶい」のメンバーとしても活躍する「あひるのペックル」は、7月27日にお誕生日を迎えます。今回は、「あひるのペックル」の初代担当デザイナーに聞いた制作秘話やこれまでの歩みをお届けします。
あひるのペックルについて
「あひるのペックル」は、おひとよしで、ココロのやさしい男のコ。
オーストラリアのケアンズ生まれで、好きな食べ物はオーストラリア産のマンゴーです。泳ぎが苦手で、歌とダンスが大好き。さかなの“ピッチ”が手拍子をすると、つい踊ってしまいます。
宝物は、よく持ち歩いているバケツで、青、赤、グレーなど、いろいろな色があります。夢は空を飛ぶことです。
誕生秘話を深掘り!
1989年、社内であひるのキャラクターのデザインコンペが行われました。
サンリオショップでアンケートを行った中で好評だったのが「あひるのペックル」で、本格的にデビューすることが決まりました。
白・青・黄を組み合わせ、あひるのイメージを膨らませながら多くのパターンのラフ画を描いたそうです。
ちなみに、“ペックル”という名前は、鳥がくちばしでつっつくイメージから、“peck”(つつく)という英単語をヒントにした造語でPEKKLE(ペックル)と名付けました。
1980年代〜1990年代のサンリオは、「みんなのたあ坊」(1984年)、「おさるのもんきち」(1992年)といった名前の付け方が多かった時期で、「あひるのペックル」になりました。
また、“ペックル”のトレードマークといえば、「P」というマークのついたお洋服。“ペックル”のイニシャルがかわいいデザインですが、実はデビュー当時はお洋服を着ていませんでした。
1990年2月に初めてのグッズ(ガーゼハンカチ)を発売後、3、4月にかけて発売されたサマープロモーショングッズで本格デビュー。浮き輪やタオル、ビニールポーチなど水辺のレジャーで活躍するアイテムが豊富にラインナップされました。
担当デザイナーによると、“ペックル”がお洋服を着たというのがひとつのターニングポイントなのだそう。過去のデザインをたどってみると、1990年の8月に初めてお洋服を着ています。
それも、さかなや音符など、実に様々なデザインのお洋服を着ている衣装持ち!
どんなスタイルも似合っちゃう、とってもおしゃれなんです♪
生まれたところはオーストラリアのケアンズ
“ペックル”の生まれたところは、オーストラリアのケアンズ。
1970~80年代にデビューしたサンリオのキャラクターたちのプロフィール設定は、ヨーロッパやアメリカなどに住んでいるキャラクターが多い時代でした。
そのなかでオーストラリアのケアンズが選ばれたのは、担当デザイナーが以前ケアンズ近隣の都市を訪れ、自然が豊かな街だと体感したことから。
ケアンズは世界遺産になっている大サンゴ礁群「グレートバリアリーフ」もありますが、“ペックル”のお父さんのプロフィールは、『大学教授。海洋学者でサンゴ礁を研究している』とのこと。自然豊かな街で“ペックル”たちが暮らしている様子がプロフィールからもうかがえますね。
“ペックル”の家族は、お父さん、お母さん、弟の4にん家族。
弟の名前は“ピックル”。 “ペックル”とはちょっと歳がはなれていて、元気いっぱいでおにいちゃんが大好きです。
“ペックル”には、個性豊かなお友だちもたくさんいます。
手前にいるさかなの3きょうだいは、“ピッチ”、“チャップ”、“ラン”です。
“ピッチ”は泳ぎの苦手な“ペックル”を川で助けてくれたのが出会いで、大の仲良しです。陸上を歩くことができ、“ペックル”の泳ぎの先生。“チャップ”はプロサーファーになりたいと思っているアクティブな性格。“ラン”はモデルになるという夢を持っています。
そして、“ピッチ”たちの隣で、ドリンクを飲んでいるのは、“チャラ”です。お調子者で3枚目。強い“ブート”に憧れていて、「ブートさま」と呼んで慕っているそう。
黄色の帽子を被っているのが “ブート”。いつも身体をきたえている力自慢です。「ブート〇〇」と名がつく得意ワザをあみだすのが好き。
”ペックル“の後ろにいる、お花の髪飾りをつけた女のコは、“ルビー”です。“ペックル”のガールフレンドで、しっかり者で気が強いところもあるけれど、涙もろくて世話好きな一面もあるそうですよ。
その“ルビー”のいとこで、リボンをつけた女のコが“フリル”です。運動神経バツグンでオシャレ好き。
水色のお洋服を着ているのが“カール”。何をするにもスマートで、女のコにもモテモテ! 実は“ルビー”のことが気になっているのだそう。高いところが苦手なんだとか。
いちご新聞「がんばれ ペックル!」の連載で世界が広がる
1991年から1997年までの約6年間、いちご新聞紙上で漫画「がんばれ ペックル!」(全65回)が連載されました。
漫画では、“ペックル”と家族、そしてお友だちとの笑いあり・涙ありの楽しいストーリーが展開されました。担当デザイナーは、「がんばれ ペックル!」の連載によって“ペックル”たちの世界が広がっていったと回顧します。
第一部「がんばれ ペックル!」は全50回が掲載され、オーストラリアを舞台に“ペックル”と仲間たちの日常が描かれました。
今回のnoteでは特別に、いちご新聞に掲載された名場面をプレイバック!
その後、第二部「がんばれ ペックル2」の連載がスタート。第二部では、「ボクの夢」をテーマにした作文コンクールで優勝した“ペックル”が、副賞としてアメリカに留学することに。舞台をオーストラリアからアメリカに移し、登場人物も一新された“ペックル”の物語が15回連載されました。
「がんばれ ペックル2」から、アメリカで野球に挑戦するお話を紹介します。
代わりのメンバーもいない・・・そんなとき、“ジャック”があらわれ、“ペックル”の代わりに守備入り。自慢の強肩によってチームを勝利に導いたのでした。
誰とでも友達になれる“ペックル”と“ジャック”の友情に、ほんわかと心が温まるエピソードになっています。
「がんばれ ペックル!」は、全編を通してキャラクターたちのストーリー、海や家などの背景が丁寧に描かれていました。それは、「あひるのペックルの世界観を、きちんといちごメイト(いちご新聞の読者)に届けたい」という思いがあったから。第2弾のアメリカ留学編では、会社から行ったアメリカ研修で見た風景がいかされているそうですよ。
はぴだんぶいのメンバーとして活躍
2020年からは、「はぴだんぶい」のメンバーとして活躍の場を広げている“ペックル”。
「はぴだんぶい」は、個性あふれる6にんの男のコたちが「ハッピーになりたい男子たち、V字回復をねらう」という意味をこめて結成されたユニットで、さまざまなチャレンジを通してみんなをちょっとハッピーにしてくれています。
ソロでの活動も継続し、2021年にはリトルペックルデザインシリーズを発売しています。なんと“ペックル”が幼いころを描いたシリーズで、いっそうかわいらしい雰囲気に。ルーツやバッググラウンドストーリーについても描かれました。
例えば、“ペックル”の宝物のバケツ。
お母さんがバケツを小物入れとして使っているのをみていた“ペックル”は、自分用のバケツをおねだりして買ってもらいました。お父さんがイニシャルの「P」を書いてくれ、大切な宝物に。それから、“ペックル”の持ち物には「P」を入れるようになったとか。
泳ぎが苦手になったストーリーも描かれました。
お風呂嫌いの“ペックル”のために、お母さんがアヒルのおもちゃを買ってくれました。それからおもちゃと一緒に入るようになり、お風呂が好きになりました。
でもある日、お風呂でハシャギすぎておぼれそうになってから、泳ぐのが苦手になったんだとか。
こういった豆知識を知ると、“ペックル”がもっと好きになれそうですね。
2024年7月18日には、デビュー当時と同じく、何もお洋服を着ていない“ペックル”が登場するデザインシリーズが登場します。今回のデザインは、歌が好きでタップダンスが得意な“ペックル”が、帽子をかぶり、ステッキを持ってダンスを披露しています。
ちなみに、“ペックル”の特技がタップダンスなのは、あひるは足が大きいからタップダンスが似合うかなと思ったからだそうです。
あひるのペックルの魅力
最後に、“ペックル”の魅力を担当デザイナーに聞いてみたところ、
『ファンのみなさんによって様々とは思いますが、“ペックル”は応援したくなる、かわいがりたくなるタイプなのかなと思っています。サイン会でファンの方に好きな理由を聞いたとき、優しいからと答えてくださった方もいて、心に残っています。』
また、“ペックル”への思いとして、
『たくさんの方から愛されるキャラクターになったことを嬉しく思います。以前よりサイン会でお話を伺うと、 「ペックルと一緒に育ってきました」というお声をいただいておりました。
最近では、「ここ2、3年でファンになりました」、「サンリオキャラクター大賞でペックルを見つけて好きになりました」というお声も多く、「はぴだんぶい」のおかげかなと感じています。
「2024年サンリオキャラクター大賞」では、みなさんのおかげで11位になれて、本当に嬉しく思います。これからもみなさんに長くかわいがってもらえれば嬉しいです。ペックルの応援をよろしくおねがいします』
と語っています。
終わりに
最後に、担当デザイナーに聞いたエピソードをご紹介します。
“ペックル”は、「サンリオピューロランド」オープン当初(1990年)から登場しており、フェアリーランドシアターでは「ポチャッコとペックルの冒険」というショーを上演していたそう。(※現在は終了しています)
そのクライマックスでは妖精の力によって“ペックル”の「空を自由に飛びたい」という夢が叶うことに!
“ペックル”がふわりと宙を舞う姿をみて、「飛んだぁ・・・!」と感動的な気持ちになったそうです。
(おわり)
取材・文:あずさゆみ
(profile)
WebメディアDtimes.jpディレクター/フリージャーナリスト
かわいいもの、おいしいものが大好き。フリーライター、フォトグラファーとしても活動中。
©︎ 2024 SANRIO CO., LTD. 著作:(株)サンリオ