【トップインタビュー】笑顔を紡ぎ「みんななかよく」の実現を目指す
こんにちは、Sanrio Times編集担当の鈴木です。
今回はサンリオの社長である辻󠄀 朋邦に、2024年に50周年を迎えた「ハローキティ」への思い、創業以来大切にしていること、そしてサンリオの未来について聞きました。
キャラクターはファンに寄り添う存在
―サンリオはこれまで450以上のキャラクターを生み出してきましたが、そのキャラクターたちはなぜ多くの方に受け入れられているのでしょうか。
辻󠄀:キャラクターそれぞれの特徴があるので一概にはいえませんが、キャラクターのストーリー性を強く打ち出していないことが理由の1つだと考えています。
例えば「ハローキティ」はある方にとって“仲間”であったり、またある方にとっては“リーダー”であったりと、ファンの方にとって“より近い存在”として受け入れていただいています。
―「ハローキティ」は2024年に50周年を迎えましたが、今では世界中のファンに愛されていますね。
辻󠄀:「ハローキティ」は、これまでたくさんの方々に笑顔を届けてくれました。
1974年に誕生してから今まで愛され続けている姿を見ていると、ファンのみなさまに寄り添う姿勢やデザインなど、「ハローキティ」自身が素晴らしい魅力を持っていると改めて感じます。
「ハローキティ」がデビューしたのは1970年代。キャラクターは商品からデビューすることが多い時代で、「ハローキティ」も“プチパース”という小さな小銭入れでデビューしました。
それから今までたくさんの商品が生まれました。きっと、みなさまの中にも「ハローキティ」と一緒に素敵な時間を過ごしてきた方がいらっしゃると思います。
例えば幼いころに愛用していたお弁当箱や、学生時代に大事に持っていたハンカチや文房具。そして、時が進むとお子さんのお洋服や、お孫さんへぬいぐるみのプレゼントなど。
「ハローキティ」は、いろんな方の思い出に寄り添い、たくさんの幸せを運び続けてくれています。
笑顔と笑顔を紡ぐコミュニケーション
―1960年の創業から事業を続ける上で大事にしていることはなんですか。
辻󠄀:創業当初から「みんななかよく」の世界を目指し、ギフトビジネスを通じたコミュニケーションを大切にしてまいりました。
コミュニケーションのきっかけとなるような小さな贈り物や可愛らしいもの、またお誕生日やクリスマスに手紙を贈りあうことで笑顔が生まれるという考え方です。
現在はデジタル化が進み、サンリオの事業もギフトビジネスだけではなく、進化するとともに多様化していますが、根本にあるものは変わりません。
それは、コミュニケーションを通じて、ひとりでも多くの方の笑顔を作り出していくことです。
世界中により多くの笑顔を生み出し、幸せの輪を広げることによって、「みんななかよく」の企業理念を実現できるように事業を展開しています。
―実現していくにあたって、悩まされたり変化を感じたりすることはありますか。
辻󠄀:名誉会長の時代と私の時代では、担うべき役割が変わったと感じています。
名誉会長はサンリオの創業者であり、「みんななかよく」という理念を伝えてきました。この理念は言葉や思いとして表現することは難しいですが、とても大切なことです。
「みんななかよく」の思いは、今、みなさまにきっと伝わっていると思います。
私が担う役割を考えましたが、辿り着いたのは「みんななかよく」を“体現”することでした。
「みんななかよく」は素晴らしい理念です。ですが一人ひとりが「みんななかよく」を体現していくためには、どうしたらいいのでしょうか。
そのためには、笑顔を生む具体的な部分をサポートしていくことが大切だと考えました。
例えば、ギフトを贈り合うだけではなく、ギフトを贈る仕組みを作ることです。
だからこそ、キャラクタービジネスだけでなく、ビジネス領域を「エンターテイメント」に広げることにいたしました。
グローバルエンターテイメント企業へ進化
―なぜエンターテイメントだったのですか。
辻󠄀:企業理念の「みんななかよく」の「みんな」に注目し、より多くの人々を幸せにするためには、エンターテイメントの力が重要だと考えました。
“エンターテイメント”というと特定の分野のように聞こえますが、私たちは、人が「笑顔」になるすべてのモノ・コトに注目しています。
特に人が生活する時間に注目し、通勤時間や勉強時間、ゲーム時間、料理時間などのあらゆる時間を、キャラクタービジネスで培ってきたクリエイティブ力とプロデュース力を生かして、笑顔に変えていきたいと考えています。
そのために新たな事業を手がける必要がありました。既にスタートしているデジタル事業やエデュテイメント事業がその1つです。
エデュテイメントは、エンターテイメントと教育をかけあわせた教育事業で、2023年3月からは、第一弾として自宅でできる子ども向け英語教材を販売しています。
デジタルでも人と人をつなぐ
―デジタル事業で目指す未来について教えてください。
辻󠄀:最終的にはプラットフォーマーになることが目標です。
サンリオがプラットフォーマーになることで、サンリオのキャラクターや、様々なコンテンツが存在する空間が生まれます。
これからはプラットフォーム内で、消費者であるユーザーが作ったり発信したりするUGC(ユーザー生成コンテンツ)の時代になっていくと思います。
サンリオがデジタル上に場所を作り、最良のシステムを構築し、「人と人をつなぐ」ことが出来れば、今までのビジネスとは違う接点で笑顔を生み出すことが出来ると考えています。サンリオは技術系の会社ではないので、テクノロジーという意味での投資も行なっていきます。
すでにメタバースイベントである「SANRIO Virtual Festival」を2021年より実施しておりますが、多くのお客様が集まってくださるイベントに成長しています。
このイベントにおいても、24時間365日お客様が楽しめる空間を作るというポイントが今後の軸になってくるのではないかと考えています。
―最後にみなさんへメッセージをお願いします。
辻󠄀:サンリオのキャラクターたちを応援いただき、誠にありがとうございます。
企業理念として「みんななかよく」を掲げ、平和な世界の実現を目指してまいります。
サンリオがグローバルエンターテイメント企業への進化を遂げる過程で、みなさまに良いサプライズや面白いことを届けたいと考えております。
キャラクターたちは様々な分野で活躍し、新たなキャラクターも誕生すると思いますが、どうかキャラクターとサンリオを応援いただけますようお願い申し上げます。
わたしのサンリオ時間
―サンリオタイムズでは最後にインタビューした方のとっておきのサンリオ時間をお聞きしています。
辻󠄀: 「ハローキティ」のネクタイを身に付けていると、お会いした方に「キティちゃん、かわいいですね」とお声がけいただくことがあります。
そういう機会に触れると、キャラクターたちはコミュニケーションが生まれるきっかけを運んでくれると、キャラクターたちの素晴らしさを改めて感じます。
取材を終えて
たくさんの幸せを届けてくれた「ハローキティ」への思い、また後半では「みんななかよく」を体現するため、グローバルエンターテイメント企業へ進化していく姿をお話しいただきましたが、いかがでしたでしょうか?
これからもキャラクターたちの魅力や、サンリオが挑戦していることをお届けしていきたいと思いますので、「サンリオ時間」の一つとしてお楽しみいただければ幸いです。
(終わり)
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